皿倉山ケーブルカー

 

序章

私の人生で最初に泊まった九州の宿は北九州ユースホステル(YH)であった。その宿へはJR八幡駅から南へ向かい帆柱山への登り坂を30分近く歩いた覚えがある。そのYHは廃業してしまったが、その近くに皿倉山ケーブルカーの麓駅がある。さて、皿倉山(海抜622m)と帆柱山(海抜488m)は現地でも混同されることがあり、ケーブルカーも「帆柱山ケーブルカー」と呼ばれた時期があったという。

皿倉山ケーブルカー案内図 (パンフレット引用)

乗り鉄の記録を登録する「レイルラボ」というサイトでは、ケーブルカーも乗り鉄の対象となっているので乗りに来たのである。ちなみに、それまで使っていた乗り鉄記録はJTBパブリッシング社の「JR私鉄全線乗りつぶし地図帳」で、その本ではケーブルカーは対象に入っていない。

レイルラボの私のページはここ

https://raillab.jp/member/tanakin

案内図で判るように、標高622mの皿倉山山頂には、NHKや福岡県の民放のアンテナがあるくらい高い山である。東京スカイツリーの高さが634mであることから、その高さは想像できるであろう。そして、展望台からは、日本製鐵八幡製鉄所や、赤い若戸大橋が望め、振り返ると実は関門大橋も観ることができる。

皿倉山若戸大橋関門海峡  (GoogleMap利用)

皿倉山から望む若戸大橋 (筆者撮影)iPhone17ProMAX

第一章

 

ケーブルカーの乗り場に着くと、入り口に「新日本三大夜景認定」と書いた大きな看板がある。この「新日本三大夜景」は3年ごとに更新されて、直近の2024年12月の選考結果はこの北九州市の夜景がNo.1だったそうである。ついでに書くと2位が横浜、3位が長崎である。

 

元祖の「日本三大夜景」は、函館山摩耶山稲佐山であり入れ替わりはないが、調べてみると前述の「新日本・三大夜景」の他に「日本・新三大夜景」というのもあった。これは入れ替わりがなくて皿倉山若草山笛吹川フルーツ公園である。

 

ここで、中部地方の某稲荷神社前の参道に並ぶ食べ物屋を思い出した。ご当地の「○○グランプリ受賞」の看板を出している店が無闇矢鱈に多いのである。それとはなしに伺ってみるとグランプリは毎年開催されていて、各店舗がそれぞれに受賞しているようである。なんだか「大人の事情」があるようである。

 

入れ替わりのある「日本新三大夜景」で2022年は2位だった札幌市は2024年は6位に甘んじているが、その理由はなんなのであろうか。ただ、横浜(みなとみらい)が躍進したのは住民としてその変化を確認しているので間違いない。例えば世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ」とか横浜市新庁舎など見栄えのある建物が竣工しているのだが、これは身贔屓であろうか。

 

なんだか、数年間連続してEXILEが受賞したレコード大賞とか、全く日本で実績のない韓国歌手グループが数組も出場したNHK紅白歌合戦、世界的に有名?なモンドセレクションなどが頭に去来してきたのである。皿倉山のテッペンで美しい風景を眺めながら、あまり子供には教えたくない大人の事情に頭を巡らせていて、中原中也の「汚れちまった悲しみに」という言葉を思い出すのであった。

 

なお、夕方になるとJR八幡駅からケーブルの麓駅まで無料のシャトルバスが出ているので利用されたい。私は事情があって、麓駅から八幡駅に向かう始発のシャトルバスを利用したので残念ながら夜景を楽しむことはできなかったので、もう一度ここに来たいと思うのである。

皿倉山からの夜景 (現地の表示パネルを撮影)

第二章

 

上りのケーブルカーを降りると、頂上へは「スロープカー」に乗り換えることになる。運転手なしのモノレールのような小さな車両が運んでくれるのである。一般のケーブルカーがその車体を斜面に合わせて並行四角形に作り、床は階段上になっているのに比べて、「スロープカー」は車体を水平を保つ仕組みがあるので、床も平らになっている珍しい乗り物であった。

皿倉山スロープカーの機構 (現地説明板を撮影)

皿倉山スロープカー (パンフレットを撮影)

ここで、序章で述べた「レイルラボ」の乗り鉄登録に話は戻る。なんと、このサイトには皿倉山の「スロープカー」が掲載されていないのである。我が国においては鉄道に関わる「鉄道事業法」や「軌道法」などの法律がいくつかあり、この「スロープカー」は無人とはいえ、レールの上を自力走行するのであるから「鉄道」に違いないと思うのであるが、これは鉄道ではなく、「斜行エレベータ」で鉄道事業法ではなく建築基準法と昇降機技術基準がカバーする移動手段なのだそうだ。

 

仮に「鉄道」として申請すると鉄道事業免許や厳しい設備基準、管理基準が求められるが、「エレベータ」なら比較的容易に設置と運用ができるのである。(エレベータであっても定期点検や保守管理と報告は法律に則り行われる)

具体的に書くと、鉄道であれば運行前の日常点検は必須であるが、斜行エレベータは「常時監視」となっていて、法定検査はケーブルカーなら3ヶ月、6ヶ月、1年の点検と国の監査を受けるのであるが、エレベータは年に1回の定期検査だけである。

 

現地のパンフレットには「スロープカーは小型のモノレールです。」と書いてあり、素人目には鉄道の分類に入ると思われるのであるが、「大人の事情」で「スロープカー」は運用経費が低廉な「斜行エレベータ」になったのではないだろうか。

 

美しい景色を眺めながら、またしてもスロープカーがエレベータ扱いなのは「大人の事情」だと考えてしまうのは私の考え過ぎであろうか。

 

終章

さて、そそくさと山を降り、JR八幡駅経由で小倉駅から新幹線に乗り、広島駅へ移動し、その夜のうちに広島電鉄路面電車の未乗車区間を制覇して、1日を終えたのである。この日、佐賀県唐津線の山本駅・唐津駅間を乗車して、JR唐津線を完乗し、この文章にある皿倉山ケーブルカーに乗った。広島では広島電鉄の皆実線、宇品線、本線の未乗車区間に乗って初期の目的を達成したのである。

なお、JR唐津線の山本駅については下記を参照いただ具として、広島電鉄についてはこれから書きたい。

tanakinskywalker.hatenablog.jp